卒業おめでとう。
皆さんが通った三年の間には、いろいろと変化が起こりました。教室の窓から見える明石海峡の橋は、鉄柱だけであったものに、ロープが張られ、橋桁がつながり「橋」の形を見せてきましたし、校地のすぐそばにまで住宅が迫ってきました。
高校生活の中で外的な変化よりももっと大きな体験は、未曾有の震災に遭遇したことです。現在も仮設住いをしている人や、辛い思いを抱き続けている人もあります。「災難」と思うだけでなく、体験を将来に活かしてほしいと願っています。
皆さんは、須磨友が丘高校という集団の中で、「友と一緒に」互いに刺激しあい、影響を与えたり、受けたりしながら成長を遂げてきました。「友達」という財産を手に入れているのです。
学校では、先生方の指導の下にいろいろな事柄を学んできました。
ところが、情報化社会といわれる今、我々の周囲には次々と新しい情報が伝えられ、学校で習得した知識だけでは処理しきれなくなってきました。次々と現れる情報の中で生きてゆくために、今までに学んだ「知識」の上に、「学び方」「問題を解決する方法」を学ばねばなりません。これらは、画一的なものでなく、一人ひとり異なったものを探しながら、世界に一つしかない「自分」を造り上げるのです。
さあ！ 「自分探しの旅」に出発です。そのためには一人ひとりが道を拓（ひら）かねばなりません。
新しい旅立ちに際し、私が高校生のときに読み、感銘を受けた詩の一部を掲げ、餞（はなむけ）とします。
僕の前に道はない
僕の後ろに道は出来る ・・・ 高村光太郎 「道程」
「学校にて」は、私（小田桐 一良）が 兵庫県立須磨友が丘高等学校に勤務していたとき、「友高通信」「育友会報」などを通じて生徒諸君に語り掛けてきたことを集めたものです。
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