1996年1月17日（水）阪神・淡路大震災1周年に際し、11時50分（第４時限開始時）から放送により講話ののち、黙祷。
午後、1、2年生を対象に「友高セミナー」で神戸朝日病院院長 金守良（きむ・すりゃん） 氏の講演を行った。以下は、黙祷の前の放送の原稿。
なお、この日、県公館では皇太子、三権の長の臨席のもと追悼式が行われ、正午を期して黙祷を行った。
平成7年1月17日午前5時46分、私たちは今までに体験したことのない激しい地震に襲われ、6300人を超える犠牲者、43万戸に及ぶ建物の損壊など、神戸地区をはじめとして広範囲にわたって大きな被害を受けました。
幸いにして本校の生徒・職員から犠牲者は出なかったものの、家屋の全焼・倒壊58名、損傷94名、また、家族を失った者8名という被害をうけました。校舎は、階段や接続部分に割れ目が入った程度で、窓ガラスの破損もなく、軽微な損傷でした。
学校は、ライフラインの復活、交通機関の復旧状況をみながら、1月31日から授業を再開しました。しかし、避難所から通学するもの、遠方の知り合いに身を寄せており、通学に時間がかかるものもあり、交通事情の悪さを克服して平常通りに戻るにはしばらく時間がかかりました。
一年経過した今日、地震の時、地震のあとの日々を思い出してください。
身近な人を失い途方に暮れた人、家を失い、仕事を失った人、このつらさは、他人には分かってもらえないもどかしさを持っている人もあるでしょう。避難所生活をしながら、他の人達の世話をした人、部活の仲間同志誘いあってボランティア活動に参加した人など、百人百様の体験をしたことでしょう。
震災から１年が経過した今、振り返ってみると辛いという思いのほうが大きいように思います。今も当時を思い出すことが辛くて出来ないという人もあるでしょう。想像もつかない事態がつぎつぎに起こり、とまどいながらも、現在まで切り抜けてきたというのが実感だと思います。
震災によって、われわれ人間は自然に対してあまりにも弱いものであることを見せつけられました。しかし、逆境の中にあっても、人間は知恵を出し合い、力を合わせればその逆境を切り抜けて行けるということも教えてくれました。多くの人たちの善意によって社会は成り立っているという事を明らかにしてくれました。
震災という貴重な体験を「災害」に終わらせることなく、これからの生活の教訓として活かしていきたいと思います。
震災から1周年にあたり、震災で命を失われた方々の冥福を祈り、復興を誓って黙祷を捧げたいと思います。 （平成8年1月17日 記）
「学校にて」は、私（小田桐 一良）が 兵庫県立須磨友が丘高等学校に勤務していたとき、「友高通信」「育友会報」などを通じて生徒諸君に語り掛けてきたことを集めたものです。
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