編集：1999年5月23日　 兵庫県ユースホステル協会「ユースホステル活動のしおり」第1章§6

§6　ユース・ホステル運動の本質と特性

　 ユース・ホステル運動の最も本質的な点として次の4つをあげることができる。

1 自然にかえれ

　 運動がどのようにして発生したかを知れば明白である。自然は純粋であり静寂であり、カに満ちて偉大である。それが人を新鮮に、健康にそして純粋に保つ。そこにユース・ホステル運動の根源がある。

2 友愛と奉仕

　 ユース・ホステルは青少年への温かい真心から出た奉仕によって生まれたものであることを思いおこし、その意志を受け継いであらゆる差別を超越した大きな友愛と奉仕の心を忘れてはならない。

3 自主と責任

　 この運動はホステラー個々の自主性によっておこされるべきものである。自主的な行動の中ですべてを自分で考え、自分で責任を持つことの尊さを知るのである。

4 国際性

　 ユース・ホステル運動の前には世界はひとつである。それは人種、宗教、思想、貧富の差を超越した友愛の世界である。

　 以上の4点は常に相伴って存在し、別々に存在するものではない。これらの本質は以下の「誓いのことば」にまとめられ、活動をすすめる際の合青葉となっている。

1.　私たちは簡素な旅行により、未知の世界を訪ね、見聞を広めよう。
2.　私たちは規律を守り、良い習慣を身につけよう。
3.　私たちは共に助けあい、祖国の繁栄につとめよう。
4.　私たちは国際人としての教養を高め、明るい世界を建設しよう。

　 ユース・ホステルの運動が持つ独自の特性は「家」である。すなわち友愛と奉仕と規律とによって営なまれる「ホステルでの生活」を持っていることである。
　 そこには規律とペアレソトの温かい目と、互に志を同じくする異郷の友との交わりがある。それはテントや、山小屋の中の生活はと明らかに異質のものである。

　 アルピニストやワンダラーやホステラーの活動はすべて「自然にかえれ」の精神の上に立っている。アルピニストはそれらの自然の中から山を選び、カの限りを尽して岩壁にいどむ。ワンダラーは野を歩き山に入り里を訪ね自然と対話する。
　 そしてそれらの自然の中にシルマンによって「家」を与えられたホステラー達は旅ゆく喜びをホステルの生活の中に高めあうのである。
　 それらは「自然にかえれ」という共通の幹から出た別々の枝であり、それぞれの特性をよく把握し、その考え方に於ける混同をさけるとともに、相異った行き方の中からその共通の幹を太らせて行かねばならない。

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「ＨＹＨ活動の手引き」は、昭和48(1973)年に私（小田桐　一良）が
所属していた兵庫県ユースホステル協会で作成したものです。